よしこばブログ

13年間の国税局勤務を経て転身した、フリーライター小林の日常

新・騒音おばさんの登場に10年以上前のトラウマが蘇る

こんにちは、よしこばです。

少し前に流れたニュースですが、昔あった嫌なことを思い出してしまいました…。
そのニュースがこちら。

神奈川県小田原市で騒音などのご近所トラブルを注意しようとした住民男性Aさん(47)に車で突っ込んだとして、県警小田原署は18日、殺人未遂の疑いで無職・小松徳子容疑者(65)を逮捕した。
同県警によると、17日午後11時10分ごろ、自宅前の駐車場で車両正面に立っていたAさんに向けて車を発進させ、衝突後にボンネットに乗せたまま車両を前後進させて殺害しようとした疑い。男性は脛とひじに打撲傷を負った。
「助手席には35歳の娘が乗っていた。昨年10月、都内から引っ越してきた母娘は近隣住民とトラブルになっていた。小松容疑者は男性に接触した事実を認めつつ“殺意はなかった”と容疑を否認している」(全国紙社会部記者)
トラブルのきっかけは風鈴とみられる。複数の近隣住民によると、今年5~6月ごろ、賃貸の一軒家で暮らす小松母娘は2階ベランダにいくつも風鈴をぶら下げ、四六時中、チリンチリンとうるさかったという。
住民が注意したところ母娘は逆ギレし、風鈴は最高10個まで増え、夜中や明け方に大音量で音楽を流すようになった。'90年代に大ヒットを飛ばした『My LittleLover』の楽曲ばかりだった。
「工事現場で何かをハンマーで叩くような音が聞こえてきたこともある」と前出の住民。
奈良県平群町では'05年、大音量で音楽をかけて「引っ越し、引っ越し」と布団をはたいた“騒音おばさん”が逮捕されており、小松容疑者は“新・騒音おばさん”になる。

<2017年8月27日Yahoo!ニュース(週刊女性PRIME)より引用>

  • 高齢の女性
  • ご近所トラブル
  • 騒音

この要素だけで、僕は大学時代に巻き込まれたご近所トラブルを思い出してしまったんです。
ああいうショックって、忘れたと思っても、意外と消えていないものなんですね。
事件があったのは今日のようなすっきりしない天気の日で、どうしても思い出すので、
いっそのことブログに書いてやろうと思った次第です。

憎しみは知らないところで生まれていた

あれは僕が20歳の頃、福岡市内のアパートで一人暮らしをしていた頃のことです。
大学に近く住みよいロケーションではあったのですが、壁が少し薄いなと感じていました。
家賃を少しケチったからですね。

隣の部屋はやや上の世代のロック系の男性が住んでいて、ときおり聞こえるロック系の音楽を「うるさいなあ」と思っていましたが、こちらはこちらで、友達と騒いだり、音楽を聞いたりしていたので、お互い様という認識だったんです。廊下ですれ違うときも、とくに言葉を交わすこともなく、なんとなく互いにひいた境界を犯さず、日常生活を送っていました。

僕が住んでいたのは1階でしたから、下に気を使う必要はありません。
隣さえトラブルにならなければいいと思っていました。
思いもよらなかったのは、そんな僕のことを、憎む人が、上階にいたことでした。

僕に想像力が足りていなかったことにも問題があるんですが、
騒音トラブルって、つい隣と下ばかりに意識が行ってしまうんですよね。
上の人のことは考えない。

というかむしろ、上階の人に対しては、「足音がうるさいな」と思っていたくらいです。
誰が住んでいるのかも知りませんし、まあこっちが我慢すればいいや、くらいに思っていました。

老婆の復讐は静かに始まっていた

異変に気がついたのは、ある日の夕方だったと思います。
洗濯物が濡れていたんですよ。
「晴れてたのに変だな」と思って取り込みましたが、
同じようなことが何度が続きました。

そして開いた窓から外を見ると、上からポタポタと何かが降ってくる。
窓から顔を出して上を見ると、上階の人が窓際に干したタオルから、水滴が落ちてきていたんです。
ただ、そのことを把握しても、僕はまさか嫌がらせをされているとは感じませんでした。

そしてある夜。
ドンッ!
大きな物音が聞こえて飛び起きました。
上の階からです。時間は午前3時頃だったと思います。
何が起きたのか認識できずにいると、
「うるさーい!!」
女性の声です。そのとき初めて上階の住人が女性だと知りました。
窓の外からこちらに向かって叫んでいるようです。

さすがにキレました。
恐怖も感じたと思います。
僕はとっさに窓から顔を出し、
「うるさいのはそっちだろうが!」といったようなことを言ったと思います。

そのとき、初めて相手の姿を認識しました。
老婆です。恰幅が良く、白髪頭。
暗闇の中で表情までは見えませんでしたが白髪だけが妙に明るい。

そこから2時間に渡る会話が始まります。

老婆との会話にならない会話の

それから具体的にどのような会話をしたか、ほとんど覚えていません。
話は行ったり来たり、取り留めもなかったですし。
ただ、いくつかの会話の要素は思い出せます。
それがこんな感じです。

  1. いつも女を連れ込んでいて許せない(当時の恋人のことです)
  2. 早朝の洗濯機の音がうるさい
  3. お前が来てから仏壇の位牌が倒れるようになった
  4. ○○大学の生徒は嫌い
  5. (老婆の)隣の部屋の住人と結託して、老婆に嫌がらせをしている

1と2は、たしかに反省すべきだったでしょう。
上の階への配慮は足りなかったと思います。

しかし、3は意味不明です。なんだか縁起の悪い現象ですが、
別に僕が上階を揺らしているわけでもないですからね…。

次の4はまったくの勘違いでした。
僕が自分の大学名を名乗ると、
「ああ、そうだったの、じゃあ…」といったん落ち着きかけました。
それからしばらく○○大学の文句を言っていましたが、
最終的には僕自身への不満へと戻ってきてしまいました。

そして最後の5。まったく身に覚えがない。
というか、老婆の隣に誰が住んでいるかなんて、知りもしない。

そして5のことについて誤解を解こうと話をしていたところ、
老婆の隣からヌッと女性の顔がとびでてきました。
議論となっている主です。
その方は暗くて遠くてよく見えませんでしたが、
声の感じからは僕との同世代の女性だと推察しました。
その女性が顔を出すなり、
「そんなことしてません!」

どうやら僕らの会話を聞いていたようです。
それからは、僕は蚊帳の外で、老婆と女性の間で、言い合いが続きます。
ときおり「あんたらが結託して!」と言い出すので、
そのときには僕との彼女はふたりで「誤解です!」と否定しました。

そうしたやりとりが続き、朝日が射す頃に、ようやく終わりました。
結局誤解は何も解けなかったようで、老婆は最後に一言、僕の方を見て
「ヤンキーの息子が!!」
と叫んで窓を閉めました。

終わった…。ようやく戦いが終わった。
そう思って僕は再び眠りにつきました。

戦いは終わっていなかったんです

それから数時間眠り、そろそろ起きようかなと思った頃、上階から叫び声が聞こえます。
「もう!」とか「ああ!!」とか、そんな感じの。

それから、
ドンガラガッシャーン!という音が外に響きます。
危険を察知した僕は慌ててドアの鍵を閉めました。

その数秒後、
ガチャガチャ
僕の部屋のドアを開けようとする音が!!恐怖すぎる!!

僕は何をすることもできず、そのまま部屋にいました。
警察を呼ぶことも、なぜか思いつきませんでした。
その日はテストだか何だか、学校に行かなくてはならない日で、どうやって学校に行こうかと、そればかり考えていました。
それどころじゃないのに。

そしてしばらくして、ドアの覗き穴から外を見てみると誰もいません。
意を決して外に出てみました。
すると…。

僕の家の前には、使用済みのティッシュだとか生ゴミだとか、
そんなものがたくさん撒かれていたのです。
少し視線を移すと、駐輪場の自転車はすべて倒されています。
さきほどの騒音は、自転車が倒れる音だったのでしょう。

一瞬、頭が真っ白になりました。
すると…。
僕の隣の部屋から人が出てきたんです。
例のロック系のお兄ちゃんと、その彼女と思われる人です。

「ひどいね」
そう言いながら、カップルは部屋に引き返し、
それからほうきとちりとりを持って出てきました。

「用事あるんでしょ、こっちで片付けるから大丈夫」
そう言ってくれ、黙々とティッシュを片付けていきます。

こちらが恐縮していると、
「大家の息子だから。俺の仕事」と一言。
なんと…。
僕はお礼を述べ、学校の用事には間に合ったと思います。

それからの数日、僕は細心の注意を払いながら暮らしました。
できるだけ音を立てぬよう、老婆と会わないように。
そしてある日、学校から帰るとアパートの前にトラックが止まっています。
そして荷物を詰める老婆の姿が。

自転車に乗っていた僕は、部屋に戻ることができず、そのままアパートを行き過ぎ、友達の家で夜まで過ごしました。
そうしてアパートに戻ると、もうトラックはありません。
どうやら老婆は引っ越したようでした。

僕らのことに耐えかねたのか、
大家から何か言われたのか、
真相はもうわかりません。
とにかく老婆は僕の人生から消えました。
そのことにとても安堵しました。
安堵したと同時に、なんとも言えぬ嫌な気持ちが残りました。

大学生が住む安アパートに一人で暮らす高齢者。
孤独だったのかもしれない、他に行くところもなかったのかもしれない。
だから、ああいう事態になる前に、違った道もあったんじゃないかって思うんですよね。
今さらなんですけど。
今回ニュースになった事件は、殺人未遂ですから、レベルが違いますが、
根本に、僕が経験した事件と同じようなものを感じます。

今でもきっと全国どこでも起きている。
憎しみは、誰からも見えないようなところで生まれて、育っている。

これ、どうにかならないのかなって思うんです。
怒りや憎しみの理由が、勘違いって、何だか悲しすぎるし、バカみたいだっておもうんです。