よしこばブログ

13年間の国税局勤務を経て転身した、フリーライター小林の日常

桜の下の満開の桜・鬼


暗黒のメルヘン

河出書房新社

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いつの間にかに2月が終わっていた。
そして今3月。もう冬が終わり春が来るのだろうか。
何も無かったかのように。
自分を虫干しせねば。春だもの。
桜が咲く春は、好きだけれど、どこか落ち着かない。
不安と希望がない交ぜにされて落ち着かない。
もう卒業でも入学でも入社でもないのだけれど。
桜が咲く。気が早いけど。
坂口安吾の「桜の下の満開の桜」を呼んだ。
山賊が、桜に惑い、桜のように美しく、恐ろしい女に惑う。
最後には、全て桜になる。散る。
その情景を思い、寒気がした。
桜は、花見のイメージから華やかに思われがちだが、
人間が、喧騒が無くなれば恐ろしいものだ。
散る桜、風の音、薄ら寒い空気、桜色と空色と木や土の色。
耳鳴りがする。動けない。
そんな中、美しい女が出てきたら、きっと逃げ出してしまう。
美しいものは、おそろしい。
完成されたものを冷たいと感じてしまうのはなぜだろう。
美しい人が笑顔を見せると、嬉しくて悲しい。
何かがその瞬間に壊れるからだ。
自分のもとに堕ちてきてくれたという喜びとともに虚しさが襲う。
桜が散っている間は落ち着かない。
咲いているときにも、散るときのことを考えると落ち着かない。
散ってしまった無様な桜を見ると少しだけすっきりする。
足元に落ちる桜の屑は、見るだにいらいらする。
今年は花見をしたい。友達と。
怖いもの見たさで早朝に一人で桜を見たい気もする。夜でもいいかな。
桜の木の下に座り、もたれ、自分に花びらが落ちてくる。
その情景の中で眠りたい。
その瞬間に、永遠を感じることができるような気がする。
また、あなたと満開の桜の下でテニスがしたいです。先輩。