よしこばブログ

13年間の国税局勤務を経て転身した、フリーライター小林の日常

センセイ、帰り道が分かりません。

センセイの鞄

平凡社

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川上弘美の「センセイの鞄」である。
読んでみた。
日常、そのあまりに平穏な日常の中で綴られる心の交感。
その微妙な語り口は心の奥底を刺激し、
切なさに似た懐かしさと、
いずれ来るのであろう、生活が、世界が体に染み付く日々への予感と。
削ぎ落とされた生活、残る感情、生まれる感情。
再開、から始まる関係。
それは居心地の良いものだろう。
帰りたいという気持ち。
かつて僕を知っている人と再会したいものだ。
もちろん改めてのお付き合いになるのだろうし、
一からはじめるに似たことになるのだろう。
でも、所々で甦る思い出だったり空気だったりが浮かんだりして。


居場所たる人間が欲しい。

家族など、実情はそんなに素晴らしくはないと思いつつも、
それでも、愛情や、家、は欲しい。

ちょっと風邪具合が悪いんだ。

愛を注ぎたい。
愛に死にたい。

胸詰まる思い。
もう、恋だけに限らずあらゆる、
欲しいんだ。

枯渇。

当たり前のようにあって、でもいつの間にかに失われた暖かさを。
肘と肘がぶつかる程度の距離にでも、いて欲しいんだよ。

桜散る。
昼のうたた寝。
茶の香り。

光。葉。土。赤色のキャップ。

誰かなんてね、結局現れてくれたところで何もしてやれないんだけどね。