よしこばブログ

13年間の国税局勤務を経て転身した、フリーライター小林の日常

夜想

誰かが僕の中からいなくなったそんな気がした。
僕にとっての日常はずいぶんと平和に、穏当に流れているのだけれど、
その穏当な流れはしかし残酷に何かしらを置いていったりもする。

気が付けば何かが失われている。
そんなものだ。
だけど、流れる先には様々な出会いがあり、
喪失の悲しみを感じる間もないことも多々ある。
喪失がいつも悲壮だとは限らない。

センチメンタルなことを僕等はとても好んでいる
気が付けば、チョコレートの包み紙にでも
破れてしまった本の表紙にでも
あるいは成功そのものにだって
僕等はセンチメンタルを探してしまう

完全なる幸福とは僕にはありえないことだ
あるとすれば、それは生まれる前か、あるいは死後の話なのだろう
生はいつだって悲しい

そんな悲しみを、気持ちいいと感じている僕等は
思えば不思議な生き物だ
いつか起こる喜びを目指している一方で
喜びについて、それが終わってくれることを望んだりもする

そんな矛盾を、僕は知っているから
うろたえたりはしない
不謹慎な話だけれど
「楽しめよ」
なんて言葉をかけたくなる

そしてそんな矛盾についての解決方法と言えば
僕にとっては芸術なのだと思っている
触れる芸術というよりは創り出すことで救われる

人生の惨めさを暴きたい
そしてその先にある答えについて「やっぱりな」
と言いたい

僕にとって伝達手段と言うよりは
自分自身と、あるいは世界そのものとの和解なのだ
全部

文章を書くことも、仕事をすることも、食べることも、
妻と笑うことも、こうやって明日を思うのも
全てが芸術なのだ

ヒントとかモチーフとかそんなことを超えて
さらに僕の知覚するあらゆるものが芸術に含まれる

僕はなしたい、それらを
成し遂げたいのだ