よしこばブログ

13年間の国税局勤務を経て転身した、フリーライター小林の日常

8月12日

時をつかむ一瞬があるという
決定的瞬間に立ち会った時に
何をするかは個人の自由だ

ある人はカメラを覗き、口を少しだけ開きながらシャッターを切った
ある人は開いたメモ帳にフレーズを書き込んだ
ある人はその場で歌にした

世界を風が通り過ぎる
なにかしらの香を湛えたその風は
少女の前髪を押し上げたりもする
少年の帽子を取り上げたりもする

僕は
そんな風をよく見かける
僕に向かってきた風じゃないことは
よく分かっているけれど

誰もいない展覧会で、
部屋の真ん中に立って、くるりとまわる
様々な色をしたシルエットが、頭をめぐる

キャンバスに塗りたくられた赤一色
水面より伸び出る緑
坂道に座って遠くを見つめる少女と、あれは犬だったか

もっともっと世界が静かだといい
誰かの秘密のお喋りが聞こえてしまうくらいに
見えるはずのものから目をそらさないために

静かな夜に誰かが歌っている
ドナルド・オコーナーの真似をして、息子は踊る
月が回る速度をハカリナガラ

ミスティ・レイン
戦争を知らない親から僕等は生まれた